海外の非上場株式寄附の市場はどうなっていますか?

日本とは環境が異なりますが、かなり普及しているようです

· 非上場株式寄附


Q. 海外の非上場株式寄附の市場はどうなっていますか?

A.  日本とは環境が異なりますが、かなり普及しています。

「非上場株式寄附」は、⽶国のファンドレイザーのなかでは⼀つのファンドレイジングの⼿法として広く認知され、「UC Berkeley」や「Duke」など多くの⼤学には相談窓⼝があり、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が設⽴した「GatesPhilanthropy Partners」や、「FidelityCharitable」、「Schwab Charitable」などの有名な慈善団体を含め既に多くの事例がある状況です。これらの団体は非上場株式(プライベート株とよばれる)を処理するための特別な団体として存在しておりDAFs(Donor Advised Funds)などと呼ばれています。

米国の非上場株式寄附の市場規模は、正確な公開数値としてはその「非上場」の性格上どうしても定かではないですが推測可能です。そもそも米国には「セカンダリー・マーケット」という店頭で非上場株を取引可能な市場があります。そのような非上場株の取引形態を主にOTC(オーバー・ザ・カウンター)取引というのですが取引量はざっと20兆円、2031年には40兆円と言われています。とても面白いのが、日本のOTC取引きの規模は7000億から1.3兆円という評価になり、ざっと計算すると米国は日本の30倍です。この差異は日本と米国の個人寄附の規模の差と似ているところが興味深いです。

一方で、オーストラリアなのですが、米国のようなOTC市場はないのでスタートラインは日本と変わりません。ただ、オーストラリアにはDGRステータスがあります。基本的に非上場株式寄附もDGRステータスに位置付けられる団体にすれば善く、日本のように「みなし譲渡所得課税」されません。また、オーストラリアは相続税がそもそもゼロ(香港、ドバイ、シンガポール、ケイマン諸島などタックスヘイブン並み)で、寄附者が非上場株式の資産処分に悩む原初の要因が存在しません。

海外事情について簡単にまとめると、

  • 米国 ⇒  DAFsや「セカンダリー・マーケット」が大きい
  • 豪州 ⇒ 「DGRステータス」への寄附の税優遇や相続税がない 

というようなことがいえると思います。

 

欧米のような規模の寄附市場になるには、前提条件の違いを克服する必要があり、日本における非上場株式寄附の普及もその一つではないかと注目されます。